文字サイズ
コラム

COLUMN

 

やさしい分子栄養学・やさしい三石理論 No.2

古典栄養学と三石理論

三石巌は一般的な栄養学を、古典栄養学と呼んでいます。それは、体重、性別、年齢、生活習慣などによって必要な栄養素やカロリーを計算しますが、病気も寿命も体質も考慮されてはいないのです。

三石理論では〝個体差〞を考慮して栄養を考えています。〝個体差〞とは人類共通の栄養条件を求めるのではなく、一人ひとりの栄養条件を求めるものです。万人の栄養学から一人ひとりの栄養学、つまり〝個体差の栄養学〞へと一歩踏み込んだのが三石理論です。個体差を自分の弱点としないために栄養条件を整えることこそが、三石理論だと思います。

父は「健康とは何か、生きるということの意味は何かを考えた健康管理でなくては意味がない。僕は、限りある生命をどのように生きるかを考えるための栄養学を構築したいんだよ。そういう考え方が市民運動として広がっていくことが夢なんだ」と、何度も話していました。

そして、「カントが『目で見る世界から、自分の頭で考える世界へ』と説いていることを忘れてはいけないよ。自分で考えることが一番大切なことで、自分の頭で作り上げたものでなくては学問とは言えないからね」と、言っていました。

誰もが健康の自主管理をして欲しい、学習して欲しいと皆さんにお話ししていた理由は、そこにあると思います。そして、「どうぞお先に!」と、ブラック・ジョークを言っていたのも、そのことに尽きると思います。

健康であっても病気であっても、日々の健康状態は違います。誰でも健康レベルの高い日も低い日もあるし、健康レベルの高い人も低い人もいると考えたのです。それを少しでも上向きにするための努力( 学習)をして欲しいと願い、ご自分の身体に必要な栄養を摂ることで、病気になる確率を減らす努力をして欲しいと考えていました。

年に2回の講演会と自宅での勉強会は、95歳で亡くなるまで、休むことなく続けていました。

それは、自分の話を聞いた方々から正しい健康情報を発信して欲しいと願っていたからだと思います。自宅にいる時には一日中書斎に籠り、亡くなるまで原稿を書いていましたので、没後2冊の書籍と雑誌のコラムが出版されました。医療だけに頼らず、正しい知識を持ってご自分や家族の健康について考えて欲しいと願っていました。

〝やさしい分子栄養学・やさしい三石理論〞を書くことで父が話してくれたことを思い出す機会にもなりました。

『1日1文』『自分の考えていることを、自分の言葉で話すこと』と、言っていたことを改めて肝に銘じています。

夫婦で同じ食事をしているのに、なぜ自分だけ白内障になったのだろう?というのが、父の最初の疑問でした。1960年頃のことです。そのことがきっかけになり、遺伝子の違いによって栄養条件には相違があり、一人として同じではないはずだと考え、個体差を考慮した独自の分子栄養学(三石理論)を構築していきました。

タンパク質とは

タンパク質は20種のアミノ酸がつながっているだけですが、呼吸をし、食べたものを消化・吸収し、解毒や免疫の仕組みを働かせ、身体を動かしたり、物事を考え、何かを作り出すなど、いわゆる生きている状態を続けていられるのは、すべてタンパク質のおかげです。

アミノ酸の組み合わせの違いでタンパク質の働きも違ってきます。どの臓器も血管も皮膚も骨も何もかもタンパク質で、できています。父の尊敬するフランスの生物学者ジャック・モノーは、「タンパク質が生命の合目的性を保証するものだ」と書いています。

分子生物学と分子栄養学の共通点は、「最も大切なものはタンパク質であり、その作り方はDNAによるものである」という考え方です。

高タンパク

現在ではいろいろな種類のプロテインが店頭に並ぶようになりました。

どのプロテインでも同じだから、安いものを探そうと思いますか?

プロテインさえ飲んでいれば、高タンパクだと満足してはいませんか?

プロテインの質の良し悪しは、必須アミノ酸の量の比によって決まります。必須アミノ酸とは、体内で合成することができないアミノ酸のことを言います。摂取するタンパク質は、必須アミノ酸のバランスの良いものでなければ意味がありません。

必須アミノ酸の比率が理想的なものを「プロテインスコア100のタンパク質」と、いうことができます。プロテインスコアの低い食べ物であっても、その食品の制限アミノ酸が何かを調べ、不足しているアミノ酸を含む食品を探して食べればプロテインスコア100になりますが、現実的ではありません。

また、タンパク質の多い食品のほとんどは、脂肪と抱き合わせになっているため、高カロリーになりかねません。

低タンパクのデメリットは肥満・貧血・胃下垂・腎下垂・免疫不全・骨折・老化促進などです。

制限アミノ酸の図

この図(図)はロイシンの部分から水が流れ出ています。つまり、ロイシンより多く含まれている他のアミノ酸はロイシンに制限され、無駄になることを示した図で、ロイシンは制限アミノ酸ということになります。

一般社団法人 三石理論研究所 所長 笹木 多恵子