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コラム-よくあるお悩みと一般的な対処法-
COLUMN
Vol.1

血糖値を下げるために意識したいポイント|食事・運動編

身体の健康を調べるうえで重要となる1つの指標が、血糖値です。血糖値は健康診断の検査項目でもあり、高すぎても低すぎてもよくありません。血糖値はたとえ健康な人でも食事の前後に変動するため、血糖値を測定する際は空腹状態であることが基本です。

また、血糖値が高い状態を指す「高血糖」は、加齢とともに起こりやすいとされています。「いつまでも健康な身体で元気に暮らしたい」という人は、ある程度の年齢を超えてから正常な血糖値を保った食生活を意識するとよいでしょう。

そこで今回は、血糖値の基礎知識や平均値、高血糖のリスク、血糖値を下げるために意識しておくべきポイントを紹介します。

今回紹介する内容は、あくまで一般的に言及されている見解となります。血糖値の上昇を防ぐためにどのような方法が適しているかは人によってそれぞれ異なるため、血糖値が気になる場合はインターネットからの情報のみを参考にせず、病院・クリニックなどで医師の指示を仰いでください。

 

【そもそも】血糖値とは?

血糖値とは、身体の健康を調べるうえで重要となる1つの指標で、「血液に含まれるブドウ糖(グルコース)の量・濃度」のことです。健康診断の検査結果上では、1dlの血液中に含まれるブドウ糖として「mg/dl(ミリグラムパーデシリットル)」という単位で表されます。血糖値の正常値・通常値は、約70~100mg/dlです。

血糖値は、人々が普段の食事で取り入れるご飯や麺類、パンなどに含まれている炭水化物(糖質)を摂取すると上昇します。そのため、たとえ健康な人であっても食後血糖値は上昇することが通常です。基本的に血糖値の基準として測定するのは、「空腹状態の血糖値(空腹時血糖)」となります。前述した血糖値の正常値は、空腹時の血糖値を指していることに留意してください。

出典:厚生労働省「e-ヘルスネット」

 

血糖値が高くなるとなぜよくない?

血糖値は、高すぎても低すぎても健康によくありません。放置してしまうと命にかかわる危険性が高いのは低血糖ですが、高血糖は年齢を重ねるにつれてなりやすいことが特徴です。その多くは、「加齢とともにインスリン分泌が減ってしまうため」というれっきとした理由があります。

血糖値が高くなると、膵臓から分泌されたインスリンが、血糖値を下げる働きをします。しかし、インスリンの分泌量が不足している、もしくは血糖値を下げる機能が低下した場合は血糖値が正常値に戻らず、糖尿病や心筋梗塞といったリスクが生じてしまいます。

特に患いやすい糖尿病は、一度患うと完治することが難しく、高血糖状態が長期的に持続してしまうことから糖尿病腎症などの合併症リスクもあるため、「血糖値が高い」といわれた場合は放置してはなりません。加齢とともに起こりやすいため、ある程度の年齢を超えたら健康的な生活習慣を送ることがより一層重要となるでしょう。

 

血糖値を下げるために意識したいポイント

前述の通り、高血糖を放置すると糖尿病や心筋梗塞といった病気を患う可能性があります。合併症を発症するリスクもあるため、健康診断などで「血糖値が高い」といわれた経験が一度でもある人は、血糖値を下げるための生活を習慣づけることが不可欠です。

また、すべての人が同じやり方で確実に血糖値を下げられるわけではありません。人それぞれ適切な血糖値の下げ方があるため、血糖値に関して気になる点がある場合は、まず医療機関で相談し、医師の指示を仰ぐことが最も重要です。

基本的に、血糖値を下げるためには食事と運動が肝心となります。ここからは、血糖値を下げるために意識したいポイントを、食事編・運動編に分けて詳しく紹介します。

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食事編

血糖値を下げるために最も大切なのが、「日々の食事に気を遣うこと」です。人間は普段の食事において、糖質や脂質、タンパク質などあらゆる栄養素を摂取しますが、摂取する栄養素が偏りすぎることにより血糖値を上げることにつながってしまいます。

ここでは、各栄養素におけるポイントと、食べる順番に関するポイントを詳しく解説します。

(1)糖質に関するポイント

糖質は、健康的な食事を取り入れるうえで欠かせない三大栄養素の1つです。摂取することで即効性のあるエネルギー源となりますが、必要以上に摂取すると血糖値が急激に上がってしまうため摂取量に注意しなければなりません。

また、急激に血糖値が上がることによりインスリンも過剰に分泌されます。インスリンは血中糖分を脂肪に変換して身体に蓄積させる働きがあるため、肥満リスクも高まります。

糖質は、日本人の主食であるごはんやパン、麺類に多く含まれています。血糖値を上げずに食事を楽しむためには、厳しい糖質制限を行うよりも、なるべく食物繊維が多く含まれた野菜類から先に食べたり、ごはんを適度な量にしてゆっくり噛んで食べたりすることがポイントです。

(2)脂質に関するポイント

脂質も、生命維持に欠かせない三大栄養素です。脂質は糖質と違い、血糖値を上昇させるという直接的な影響を与えることはありません。しかし糖質の摂りすぎにより内臓脂肪が増加し、その内臓脂肪から分泌される成分がインスリンの働きを妨げるため、間接的に血糖値を上昇させてしまうおそれがあります。脂肪をため込みやすくなることは、糖尿病のほかメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を発症させる要因ともいえるでしょう。

しかし、脂質のみの摂取で血糖値が上がることはないため、脂質を取り入れるときは同時に摂取する糖質の量にも注意が必要です。インスリンの働きを妨げないよう、なるべくいずれの摂取量も抑えてタンパク質も取り入れたバランスのよい食事を心がけましょう。

(3)タンパク質に関するポイント

タンパク質も、糖質・脂質に続く三大栄養素です。糖質と脂質は摂りすぎることによって血糖値の上昇リスクがありましたが、タンパク質はその逆で、不足することにより血糖値の上昇リスクが発生します。

タンパク質は、骨や筋肉の材料となる重要な栄養素です。そして筋肉は、ブドウ糖を貯蔵・消費する働きをもっています。タンパク質が不足すると筋肉が減少し、ブドウ糖を十分に貯蔵・消費することができません。従って、血糖値の上昇につながってしまいます。

血糖値の上昇を抑えるためには、タンパク質が豊富な食材(肉・魚・卵・大豆など)を積極的に摂取することが重要です。

(4)食物繊維・ミネラルに関するポイント

食物繊維やミネラルは、急激な糖質吸収を抑えたり、吸収を遅らせたりする働きがあります。そのため、脂質の多い食品と一緒に取り入れることで、糖質を緩やかに吸収してくれることが特徴です。食後の急激な血糖値上昇も防いでくれるでしょう。

最もおすすめなのが、食物繊維・ミネラルが含まれた食べ物を積極的に取り入れることです。

(5)食べる順番に関するポイント

「食物繊維・ミネラル」→「タンパク質」→「脂質」→「糖質(炭水化物)」の順番となります。

まずは野菜の入った味噌汁やサラダから箸をつけて、そのあとにタンパク質が含まれたおかずを食べ、最後にごはんやパン、麺類などの炭水化物を食べるようにすると、血糖値の上昇を抑えられます。

血糖値の上昇を防ぐために、食事量を無理して抑える必要はありません。食事のバランスを考えたり、食べる順番を変えたりするだけでも効果は期待できます。しかし、適切な食事内容や適切な糖質対策の方法は栄養状況によって人それぞれ異なるため、一度医師に相談してみるとよいでしょう。

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運動編

血糖値を下げるためには、運動も欠かせません。特に実施すべき運動が、「有酸素運動」と「筋トレ」です。ここからは、それぞれの運動のポイントについて紹介します。

(1)有酸素運動のポイント

血糖値の上昇を防ぐためには、少なくとも週3~5日程度、全身を使った中等度の有酸素運動が推奨されています。有酸素運動を行うことで筋肉への血流が増加し、余分なブドウ糖も細胞内に取り込みます。これに伴い、インスリンの効果が高まり血糖値も下がりやすくなるとされています。

有酸素運動は、ウォーキングやサイクリング、ジョギングなどが代表的です。1回の運動時間が20~60分間、1週間の運動時間が合計150時間以上となるよう、無理のない範囲で有酸素運動を取り入れてみてください。また、有酸素運動を中止すると数日程度でインスリン抵抗性の改善効果が失われるため、日々の継続が大切です。

(2)筋トレのポイント

前述の通り、筋肉は血糖値の上昇を防ぐために重要となる材料です。そのため、日々の有酸素運動に加えて筋トレも行うことをおすすめします。

ひとくちに筋トレといっても、さまざまな種類があります。血糖値の上昇を防ぐためには、大きな筋群を使ったやや軽めのトレーニングがおすすめです。具体的には、ダンベルスクワットやチェストプレスなどが挙げられます。

これらの筋トレは、1セット10~15回で、週2~3回の頻度で行うことが推奨されています。筋トレに慣れてきたら、徐々にセット回数を増やすとよいでしょう。筋トレも継続が重要であるため、なるべく無理のない範囲で続けることが大切です。

血糖コントロールに最も効果的なのが有酸素運動ですが、筋トレとあわせて行うことでより血糖値の上昇を防げるだけでなく、日常生活におけるあらゆる動作も楽になります。

また、これらの運動は「続けなければならない」といった気持ちで進めると挫折する可能性が高いです。慣れていないうちは無理のない範囲で進め、徐々に回数を増やすなどして、継続に向けた工夫を行う必要があることも覚えておきましょう。

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まとめ

血糖値とは、「血液に含まれるブドウ糖(グルコース)の量・濃度」のことです。身体の健康を調べるうえで重要となる1つの指標となっており、約70~100mg/dlが正常な血糖値(空腹時血糖)とされています。

血糖値は高すぎも低すぎもよくありません。特に血糖値が高い状態、いわゆる「高血糖」は高齢の人ほど多い傾向にあります。なるべく高血糖を防いで健康的な日々を送り続けたいのであれば、食事・運動に工夫しましょう。

今回紹介する内容は、あくまで一般的に言及されている見解となります。血糖値の上昇を防ぐためにどのような方法が適しているかは人によってそれぞれ異なるため、血糖値が気になる場合はインターネットからの情報のみを参考にせず、病院・クリニックなどで医師の指示を仰いでください。