血圧を下げるために見直すべき食事・生活習慣のポイントとは?
健康診断で高血圧と診断された際、具体的にどのようなことに気をつけたらよいか分からないという人は多いでしょう。血圧を下げるためには、日々の食事や生活習慣の改善に取り組むことが重要です。この記事では、食事の見直し方や生活習慣を改善するためのポイントについて分かりやすく解説します。
高血圧は病気のリスクが高まります。健康な身体で長生きするために、血圧を下げるためのポイントを抑え、自分の生活を見直してみましょう。
目次
血圧を下げたい!高血圧の原因とは?
高血圧になる原因として、「塩分の摂りすぎ」ということが一般的に知られていますが、他にもさまざまな原因があると考えられています。一般的に高血圧の原因だと言われているものを紹介します。
・高血圧の原因
- 塩分の摂りすぎ
- 肥満
- 過剰な飲酒
- 精神的ストレス
- 運動不足
- 野菜や果物の不足
- 喫煙
塩辛いものを食べると水分が取りたくなるでしょう。これは体内の塩分濃度が高くなりすぎないように水で薄めようとするためです。体内に水分が蓄積することで血液の量が増え、血圧の上昇につながります。ただ、実際に塩分の摂りすぎというだけで高血圧になる人は、ごく一部といわれています。
また、野菜や果物、乳製品の摂取が不足すると、カリウムやカルシウムなどのミネラルが足りなくなります。ミネラルは人間の細胞や臓器の活動をサポートする働きがあり、不足するとナトリウムをうまく排泄できなくなるため、高血圧の原因の一つと言われています。
そもそも血圧とは?
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す圧力のことです。血圧の値は、心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量や血管の拡張、血管の弾力性などで決まります。血圧は心臓の筋肉が収縮された状態と広がっている状態で値が大きく変動するため、通常は最大となる値と最小になる値で示されます。
高血圧とは血圧が高いことを指します。一方、高血圧症は、血圧が高すぎる状態が続く場合を指します。血圧は常に変動しており、通常は起床とともに上昇して日中は高いまま、夜間・睡眠中は低くなります。さらに、冬は夏よりも血圧が高くなるなど、時間帯や季節で異なることもあります。
繰り返し測っても血圧が基準値よりも高い場合は、高血圧症です。高血圧と診断される基準数値は、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上です。また、高血圧はガイドラインでⅠ度からⅢ度に分類され、医師がいつどのように治療するかを判断する基準になります。
血圧が高いことの問題点
高血圧が続くと動脈(心臓が送り出す血液を全身に運ぶ血管)は張り詰めた状態が続き、徐々に厚く硬く変化します。そして、弾力性やしなやかさを失った血管はもろくなり、自覚症状がないまま「動脈硬化」が進行します。
動脈硬化が進行すると、血管が血液の流れに耐え切れずに破裂してしまうことがあります。また、血栓ができたり血管自体が狭まったりすることによって、脳出血や脳梗塞、大動脈癌、腎硬化症、心筋梗塞、眼底出血など、さまざまな病気につながるリスクもあります。さらに高血圧により心臓に負担がかかると、より強い力で血液を送り出そうと無理をして心臓肥大が起こり、心不全になる可能性もあります。
高血圧の人と正常な血圧の人を比べると、高血圧の人のほうが循環器病になりやすいということが長年の研究で分かっています。また、高血圧の基準に達していない正常血圧の人でも、血圧が高めの人のほうが循環器病になりやすいというデータもあります。そのため、上が120mmHg以下かつ下が80mmHg以下の「至適血圧」の人以外は、血圧を下げるために生活習慣の改善をしたほうが良いでしょう。
まずは食事を見直すことが大切!
高血圧になる原因として、過剰な塩分摂取や肥満、ミネラル不足が挙げられることからも、高血圧には日々の食生活が大きく関係していることは明白です。血圧に問題を抱える人は、まずは食生活の見直しを行いましょう。
ここでは、普段の食事で気をつけてほしいポイントについて紹介します。
塩分を控える
日本人の食の特色として、塩分を取りすぎているという点が挙げられます。厚生労働省の調査によると日本人の食塩摂取量は、成人男性が10.9g/日、成人女性で9.3g/日です。
食塩摂取の目標量は、男性で7.5g/日未満、女性は6.5g/日未満と定められており、3g近くオーバーしていることになります。しょうゆを足したり、ソースをたっぷりつけたりするなど、味付けを濃くする習慣がある人は、塩分を過剰摂取している可能性が高くなります。
減塩を実践するための秘訣は下記の通りになります。
漬物は控える |
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麺類の汁は残す |
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具だくさんの味噌汁にする |
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低ナトリウムの調味料を使う |
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香辛料や酸味を利用する |
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外食や加工食品を控える |
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特にラーメンなどの汁物を最後まで飲み干すという人は、それだけで6gもの塩分を摂取しているため要注意です。味噌汁や漬物を毎日食べているという人も多いですが、減塩の観点で見ると減らしたほうが効果的です。食すのは1日1回だけにする、減塩調味料を用いるなど、日々の小さな積み重ねが食塩摂取量の減少につながります。
バランスのとれた食生活を心がける
高血圧だと診断された人は、塩分を控えるだけでなく、バランスのとれた食生活を意識することも大切です。特に野菜や果物、大豆製品に多く含まれるカリウムは、腎臓から塩分を排出しやすくする働きがあります。そのため、高血圧で悩んでいる人は野菜や果物、大豆食品を積極的に摂るようにしましょう。アジやサバ、マグロなどの青魚もカリウムを多く含むのでおすすめです。
ただし、腎臓に何かしらの病気がある人はカリウム摂取制限が必要であるため、主治医と相談してください。また、果物には糖分も多く含まれているため、食べすぎには注意が必要です。
カリウムだけでなく、カルシウムの摂取も重要です。カルシウムには血管や細胞の免疫力を高める効果があり、牛乳や乳製品から摂取するとより吸収率が高いと言われています。コレステロールや飽和脂肪酸などの脂質、塩分の摂取を控え、カリウムやカルシウムなどのミネラルを多く含む食べ物を積極的に取り入れていきましょう。
生活習慣を見直す5つのポイント
高血圧になる原因は、食生活以外の要素も大きく関わってくるため、食事改善だけに取り組めばよいということではありません。ここでは、生活習慣で気をつけたいポイントについて、特に有名なものを5つお伝えします。
●禁煙する
たばこは百害あって一理なしと言われています。喫煙をすると、血管が収縮し一時的に血圧が上がります。さらに血液の流れが悪くなるため、血液が固まりやすく、動脈硬化になる確率も高まります。受動喫煙にも気をつけましょう。
●適度な運動を心がける
ウォーキングやジョギングなどの運動をすると、血圧低下の効果があると考えられています。さらに、肩こり解消や肥満の防止にも効果的です。太りすぎは、血圧を上げ心臓に負担がかかり、動脈硬化が進むと言われています。
ただし、高血圧の重症度や合併症の有無によっても変わるため、適切な運動量は専門医に必ず尋ねるようにしましょう。
●ストレスを溜めないようにする
仕事や家事、育児など生活を営む上で、疲れや緊張、ストレスはつきものです。しかし、できるだけストレスを溜めないためにも、しっかり休養を取り睡眠時間を確保するようにしましょう。働きすぎや夜更かしは禁物です。
●温度差に気をつける
暖かいところから急に寒いところへ行くと、血管が収縮し血圧が上がります。特に冬場は、室内と外気の温度差が激しいため気をつけましょう。入浴の際はお湯を熱くしすぎない、長湯しないという点も重要なポイントです。
●節酒を心がける
アルコールがすべて悪いというわけではありませんが、飲みすぎると血圧を上昇させ、脳卒中や心疾患を引き起こしやすくなります。適度な量でお酒を楽しみましょう。ただし、許容される飲酒量は人によって異なるため、病院にかかっている場合は医師の指示を仰ぐことをおすすめします。
まとめ
高血圧の原因は塩分の摂りすぎや肥満と言われていますが、高血圧のまま放置してしまうと、脳出血や心筋梗塞などさまざまな病気になる確率が高まります。まずは、食生活を見直すところから始めましょう。減塩対策として、麺類の汁は飲まない、外食や加工食品は控えるなどがあります。
さらに、生活習慣も高血圧に大きく関係します。禁煙をしたり、適度な運動を心がけたりなど、医師と相談しながら食生活や生活習慣を改善し、健康的な生活を送りましょう。
今回紹介した内容は、あくまで一般的に言われている内容です。もし、不安な症状がある場合は、医師に相談し適切な指導を受けてください。