文字サイズ
コラム
COLUMN
 

唾液の働きによる健康効果とは?
分泌量を増やす方法も紹介

唾液は主に以下の成分から構成されています
①水分:唾液の約99.5%を占め、主に口腔内の湿潤を保つ役割を果たします。
②無機成分
・電解質:ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン酸などが含まれ、pHバランスを調整し、口腔内の健康を維持します。
・カルシウムとリン:歯の再石灰化を助け、虫歯の予防に寄与します。

③有機成分
・酵素:食物の消化を助けるアミラーゼや細菌の細胞壁に作用し殺菌作用のあるリゾチームなどの酵素が含まれています。また、活性酸素を除去する酵素であるペルオキシダーゼも含まれています。
・ムチン:粘液性のタンパク質で、口腔内の潤滑や保護に寄与します。

④抗菌物質
ラクトフェリンや免疫グロブリンなどが含まれ、口腔内の細菌のバランスを保ち、感染を防ぎます。

唾液の働き

口の中の唾液は、種々の重要な役割を担っています。唾液が持つさまざまな働きについて詳しく見ていきましょう。

消化を助ける
唾液は消化を助ける重要な役割を果たしています。食物を見ることで唾液の分泌が始まり、口に入れ咀嚼することで食物と唾液を混ぜ合わせます。唾液中に含まれるアミラーゼという酵素は食物に含まれるデンプンを分解し、ブドウ糖に変えます。食物が胃に入る前に食物を細かくし、唾液と混ぜることで、胃での消化を助け、胃や腸の負担を軽減します。

口内環境を清潔に保つ
唾液は口腔内を潤し、粘膜を保護することで、乾燥を防ぎます。これにより、細菌の増殖を抑え、虫歯や口臭のリスクを軽減します。また、唾液中の抗菌成分が感染症を予防し、口腔内のpHを中性に保つことで、歯の再石灰化を促進します。

口内を保護する
唾液は口腔内の粘膜を保湿し、外部からの刺激や細菌から保護します。唾液に含まれるムチンという成分が粘膜を覆い、乾燥や炎症を防ぎます。また、抗菌物質が細菌の増殖を抑制し、口内環境を清潔に保つ役割も果たしています。これにより、口内の健康が維持され、感染症のリスクが低下します。

虫歯を防ぐ
唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンは、歯の再石灰化を促進し、酸によって溶け出したエナメル質を修復します。また、唾液の緩衝作用により、口腔内の酸性度が中和され、虫歯菌の活動を抑えることができます。これにより、虫歯の発生を防ぐことが可能です。

口臭を予防する
唾液には、食べかすや細菌を洗い流す自浄作用があります。しかし、唾液の分泌が少ないと口の中が乾燥し、細菌が増えて口臭の原因となるガスが発生しやすくなります。唾液に含まれる抗菌成分は細菌の増殖を抑えるため、口臭を防ぐ働きもしています。

身体の健康を守る
唾液は口腔内の健康を保つだけでなく、全身の健康にも関係しています。唾液に含まれる免疫グロブリンや抗菌物質は体内に侵入する病原体を防ぎ、感染症のリスクを低下させます。

食べ物を飲み込みやすくする
唾液には、食べ物を湿らせて飲み込みやすくする大切な働きがあります。特に、固い物やパサつく物を食べる時には、唾液が欠かせません。

味を感じやすくする
唾液は味覚の感知にも重要です。食べ物に含まれる味の成分が唾液に溶け込み、舌の味蕾に運ばれることで、私たちは食べ物の味を感じることができます。唾液が不足すると、味覚が鈍くなり、食事の楽しみが減少します。

舌を動きやすくする
唾液は舌の動きを助ける役割も果たします。潤滑作用により、舌が口腔内でスムーズに動くことができ、発音や食事がしやすくなります。唾液が不足すると、舌の動きが制限され、会話や食事に支障をきたすことがあります。

唾液の分泌の仕組み

唾液は、耳下腺、顎下腺、舌下腺から1日1〜1.5L分泌されています。唾液の分泌は自律神経系によって調整されており、副交感神経が刺激されると唾液が豊富に分泌されます。この時、血管が拡張し、水分が多く含まれるサラサラの唾液が生成されます。一方、交感神経が刺激されると、血管が収縮し、粘度の高い唾液が分泌されます。
また、唾液には「刺激唾液」と「安静時唾液」の2種類があります。刺激唾液は、食物の味覚や嗅覚、酸などの化学物質による刺激、噛むことによって分泌されます。この唾液は、消化酵素であるアミラーゼを多く含み、デンプンを糖に分解し、消化を助けます。刺激唾液は、安静時唾液の20〜30倍の緩衝作用があり、口腔内のpHを保つのに寄与します。
一方、安静時唾液は、刺激がない状態でも常に分泌される唾液で、主に口腔内を潤し、粘膜を保護します。安静時唾液は、睡眠中に分泌が減少し、口腔内の清潔を保つ力が低下するため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

唾液が少ない状態は危険

唾液はさまざまな役割を担っており、その機能が十分に発揮されないと、消化や口腔内の健康が損なわれるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。ここでは、唾液の分泌が不足した場合に起こる具体的な影響について詳しく見ていきましょう。

唾液の分泌量低下によるトラブル
唾液の分泌量が少ないと、口腔内の健康に悪影響が出ます。唾液の抗菌作用が弱まることで歯周病や虫歯のリスクが高まり、口の中が乾燥して口内炎ができやすくなったり、カンジダ菌などの感染症を引き起こす可能性もあります。

唾液の量が減る原因
唾液が減る原因としては、加齢による筋力低下や女性ホルモンの減少、高血圧症や糖尿病、シェーグレン症候群といった病気やその治療薬、口呼吸・ストレス・喫煙などの生活習慣が挙げられます。

唾液の分泌量を増やす方法

唾液の分泌量が十分でないと、先ほど述べたようなさまざまな問題が起こりやすくなります。健康な口腔環境と身体全体のために、唾液の分泌を促進する方法を知っておくことが大切です。唾液分泌を増やす具体的なポイントや習慣について詳しく解説します。

こまめに水を飲む
唾液の99%以上は水分で構成されているため、十分な水分を摂取することで唾液腺が活性化され、分泌量が増加します。日常的にこまめに水を飲む習慣をつけることで、口腔内の潤いを保ち、健康を維持できます。

噛む回数を増やす
食べ物をよく噛むことは、唾液の分泌を促進する効果があります。噛むことで唾液腺が刺激され、より多くの唾液が生成されます。食事の際には、1口あたり30回を目安に噛むことを心がけると良いでしょう。また、ガムや硬めの食材を取り入れることで、さらに噛む回数を増やすことができます。

リラックスする
ストレスや緊張は唾液の分泌を抑える要因となります。リラックスした状態では、サラサラした唾液が多く分泌され、口腔内が潤います。趣味や好きなことを楽しむ時間を持つことで、ストレスを軽減し、唾液の分泌を促進することができます。規則正しい生活リズムも重要です。

舌の筋肉を鍛える
舌の運動は唾液腺を刺激し、唾液の分泌を助けます。「あいうべ体操」などの舌の体操を日常に取り入れることで、舌の筋肉を鍛え、唾液腺の機能を向上させることができます。

まとめ

唾液は食物を口に入れて一番初めに分泌される消化液です。唾液に含まれる消化酵素であるアミラーゼはデンプンをブドウ糖に変える働きがあります。アミラーゼなどの酵素はタンパク質で構成されているため、タンパク質の不足は消化酵素の不足に繋がります。
さらに、口腔内の粘膜を正常に保つには良質タンパク、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンA、亜鉛、レシチンなどの栄養素の摂取が必要不可欠です。 三石理論では「良質なタンパク質の摂取」「メガビタミンの摂取」「活性酸素の除去」の3つの柱を実践することで健康レベルを高く保つことができると考えております。

必要なタンパク質、ビタミン、ミネラルの量は個体差があり、状況によっても左右されます。日々、ご自身の身体と向き合い、必要な栄養素を摂取する健康自主管理の実践のために、まずは三石理論をご理解いただけますと幸いです。 「三石理論の実践ブック」では、その考え方と具体的な実践方法をわかりやすく解説しています。

三石理論の実践ブックの無料ダウンロードはこちら