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コラム-よくあるお悩みと一般的な対処法-
COLUMN
Vol.2

「疲れた」と感じたとき試したい対処法|セルフチェックも

日常生活において、慢性的なストレスや健康上の問題を抱えていると、多くの人は「疲れた」と感じます。疲労は身体的なものと精神的なものに分類され、それぞれ異なる対処法が必要であるものの、自分自身の疲労度を正確に評価するのは難しいのではないでしょうか。

この記事では、自身の疲労蓄積度をチェックする方法や、精神的あるいは身体的な疲れ改善のために意識したいポイントについて紹介します。疲労感に悩まされているという人は、ぜひ参考にしてください。

 

そもそも「疲れ(疲労)」とは?

日本疲労学会によると、疲労とは日常生活における慢性的な疲労、疲労と関連の深い健康の問題を抱えている、もしくは過重労働などの状況にあることとされています。一口に疲労と言っても種類はさまざまで、人によって異なる疲労を感じていると言っても過言ではありません。

日々の暮らしで疲労に悩んでいる場合、「疲れた」と感じた時点で早めに休養をとることが大切です。また、自身の疲労感を客観的に評価するためにも。疲労蓄積度セルフチェックの方法を知っておくとよいでしょう。

出典:日本疲労学会「抗疲労臨床評価ガイドライン」

三石流・健康常識クイズ

 

「疲れた」と感じたらまずは「疲労蓄積度」のチェックを

ここでは、「疲れた」と感じた際に確認したい「疲労蓄積度チェックリスト」について紹介します。疲労蓄積度チェックリストとは、厚生労働省が作成した健康管理の基準です。下記の「働く人の疲労蓄積度セルフチェック」では、20個の簡単な質問に答えるだけで自分の疲労蓄積度が分かるとされています。

現在の職場における疲労蓄積度を、0〜7点の8段階で判定します。負担度が6〜7点の人は、疲労が蓄積されている可能性があり、働き方など生活の見直しが必要です。約5分で測定できるため、まずは気軽にやってみるとよいでしょう。

参考:働く人の疲労蓄積度セルフチェック(働く人用)

 

【身体的な疲れ】改善のために意識したいポイント

身体的な疲れとは、身体を動かすことで生じる筋肉などの疲労を指します。長時間労働による倦怠感や、パソコン作業による眼精疲労などの症状は身体的な疲れに該当します。

以下では、身体的な疲れを改善するために意識したい、3つの具体的な対策について紹介します。

三石流・健康常識クイズ

 

睡眠の質の向上

人は寝ている間に体力を回復したり、傷ついた筋肉を修復したりするため、睡眠の質が低下すると、身体的な疲労が蓄積しやすくなります。「眠りが浅い」「寝付くまでに時間がかかる」という人は、睡眠の質を見直す必要があるでしょう。

寝ている間に回復しきれなかった疲労は、翌日に持ち越されます。このようなケースが何日も続くと、慢性的な倦怠感や生活習慣病の原因にもなるため注意しなければなりません。

睡眠の質を向上させるためには、下記のポイントを意識するのがおすすめです。

毎日同じ時間に起きる 起床時間を統一すると、体内時計のリズムが整う。
夕食を少なめにする 胃腸を休めると深部体温が下がり、寝付くまでの時間が短くなる。
室温を25℃前後に保つ 理想的な寝室の温度は16〜26℃。湿度は50〜60%が理想的。
部屋を暗くして寝る 寝ている間は4ルクス以下の明るさにするのが理想的。

「毎日同じ時間に起きる」というポイントは習慣化する必要がありますが、他の3つはすぐに取り入れられます。身体的な疲労感に悩んでいる場合は、今日から実践するとよいでしょう。

 

食事の質の向上

身体的疲労を改善するためには、筋肉にしっかりと栄養を補給することが大切です。筋肉の構成要素であるタンパク質はもちろん、脂質や炭水化物、ビタミン・ミネラルもバランスよく摂取することが推奨されています。

食事の質を見直す際には、農林水産省が作成した「食事バランスガイド」が参考になります。食事バランスガイドとは、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいのか、理想的な食事の組み合わせと、おおよその量をイラストで示したものです。

5つの料理区分と目安となる摂取量は下記の通りです。

料理区分 1日分の摂取量目安
主食(ごはん・パン・麺)ごはん(中盛り)4杯程度
副菜(野菜・きのこ・いも・海藻料理)野菜料理5皿程度
主菜(肉・魚・卵・大豆料理)肉・魚・卵・大豆料理から3皿程度
牛乳・乳製品牛乳1本程度
果物みかん2個程度

なお、上記はあくまでも基準であり、人それぞれ必要な栄養素が違うことに留意しましょう。

また、食事バランスガイドによると菓子・嗜好飲料に関しては「楽しく適度に」と表記されています。食べすぎ・飲みすぎはNGですが、我慢しすぎてストレスを溜め込むこともよいとは言えません。「1日1個まで」「○時以降は食べない」など、自分なりのルールを決めて楽しむとよいでしょう。

出典:農林水産省「食事バランスガイドについて」

 

適度な運動

適度な運動をすることは、身体的疲労の解消あるいは基礎体力の向上につながります。

立ち仕事やデスクワークなど静的な作業を毎日長時間行っていると、一部の筋肉にだけ負荷がかかり、慢性的な疲労につながります。「たいして動いていないのになぜか疲れが取れない」という状態は、慢性的な疲労が溜まっている可能性があると言えるでしょう。一部の筋肉に慢性的な疲労が蓄積すると、血液の流れが悪くなり、肩こり・腰痛・だるさの要因にもなるため、早めの対処が必要です。

食事や睡眠を改善しても疲れが取れないときは、トレーニングやストレッチなど適度な運動習慣を取り入れてみましょう。アクティブレスト(積極的休養)と呼ばれる疲労回復方法は、筋肉の慢性疲労に効果的であると言われています。こまめに身体を動かして筋肉をほぐせば、全身の血流改善や、身体に蓄積していた老廃物の排出も期待できるでしょう。

また、1日10分程度の運動を継続することで、代謝がよくなり運動不足解消にもつながります。さらに、軽い運動をすることで「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが分泌され、気持ちを上向かせる効果も期待できます。

 

【精神的な疲れ】改善のために試したいこと

精神的な疲れの多くは、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の活性化が原因であると言われています。DMNとは、アメリカの神経学者マーカス・レイクル教授により提唱された概念で、人間がぼんやりしているときでも脳は活発に活動しているというものです。

精神的な疲れを解消するためには、DMNをうまくコントロールして脳を休めることが大切です。

三石流・健康常識クイズ

 

仕事以外の時間を作る

職場での人間関係のしがらみや業務の多忙さは、DMNを活性化させる要因です。そのため、意識的に仕事以外の時間を作れば、精神的疲労の緩和につながるでしょう。

例えば、趣味に没頭したり、友達と一緒に過ごたりして、仕事のストレスや悩みを一時的に忘れるという方法は、疲労回復に効果的です。家族や友人などの相談相手に、不安や悩みを聞いてもらうのもおすすめです。あてもなく遠くへ出かけたり、家でのんびり音楽を聴いたりするのもよいでしょう。

 

自然に触れる

精神的な疲労を回復するためには、自然に触れるというのも1つの方法です。自然音や緑に囲まれた環境は、リラクゼーションや健康を促進すると言われています。

休日には自然を感じられる山や海などに旅行に行くほか、旅行が難しい場合は、近所の公園を散歩するだけでも癒しを得られるでしょう。また、「花の写真を観賞する」「自然音の音源を聞く」といった手軽な方法でも、リラックス効果が期待できると言われているため、ぜひ取り入れてみてください。

 

生活のリズムを整える

不規則な生活をしていると、身体的な疲労だけでなく、精神的な疲労も溜まりやすくなります。生活リズムの乱れは自律神経・ホルモンバランス・免疫力に悪影響を与えるためです。

生活リズムを整えるためには、下記のポイントを意識するとよいでしょう。

  • 起床後1時間以内に朝食をとる
  • 仕事中は90分ごとに休憩する
  • 夕方に有酸素運動をする
  • 夜はブルーライトを避ける
  • 寝る直前の飲酒は控える

日頃の生活を見直して、精神的な疲れを解消しましょう。

 

まとめ

「疲れた」と感じたときは、まずはしっかりと休んで原因の解消に努めることが大切です。自分自身の疲労感を正確に評価することは困難であるため「働く人の疲労蓄積度セルフチェック」などを活用して客観的な判断をしましょう。

一口に疲労と言ってもその原因はさまざまです。疲労の原因が身体的なものなのか、精神的なものなのか見極めて適切な対処法をとりましょう。「健康的な生活を送りたい」という人は、ぜひ当記事を参考に自身の生活を見直してみてください。