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コラム-よくあるお悩みと一般的な対処法-
COLUMN
Vol.6

尿酸値とは?尿酸値を下げたい人が行いたい対策4つも

多くの人が年に一度は健康診断を受けます。「特に問題なし」と言われれば一安心ですが、中には尿酸値の高さを指摘されてしまった人もいるでしょう。初期状態であれば尿酸値の高さを自覚しにくいこともあり、健康診断で初めて知って不安に思う人は少なくありません。

この記事では、尿酸・尿酸値の概要と数値が高くなることによるリスク、アルコールと高尿酸血症・痛風の関係について解説します。尿酸値が高くならないような生活を送るコツも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

 

尿酸・尿酸値とは?

尿酸とは、身体の中でプリン体が分解される過程で作られる老廃物の1つです。プリン体の70~80%は体内で産生されており、細胞の新陳代謝やエネルギー代謝によって「核酸」や「ATP」が分解されることで生じます。残りの20~30%は、食事から取り込まれるプリン体です。

プリン体はあらゆる生物の細胞に存在するため、人が生きている限り体内から尿酸が消え去ることはありません。プリン体から産生された尿酸は血液に溶け込んで一時的に体内でとどまったのち、尿や便とともに排出されます。この血液中に溶け込んでいる尿酸の量を示した数値が、尿酸値です。

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尿酸値が高くなると「高尿酸血症」のリスクも

通常、人の体内で1日に産生される尿酸の量は約600~700mgと言われており、ほぼ同量が毎日尿や便などとともに排出されます。そのため、健康な状態であれば体内の尿酸値は大きく変動しません。

しかし、尿酸の産生量が過剰になったり、排泄量が低下したりすると体内にとどまる尿酸の量が増加します。血液中の尿酸が増え、基準値の7.0mg/dlを超えた状態を「高尿酸血症」と言います。尿酸値が7.0mg/dlを超えると尿酸が血液中に溶け切れなくなり結晶化が始まることで、さまざまな疾患・合併症を引き起こすリスクが高くなります。

下記は、高尿酸血症が原因で発症しやすいとされる疾患・合併症の例です。

  • 痛風
  • 腎結石
  • 腎機能障害
  • 尿路結石
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 高血糖
  • 動脈硬化
  • 脳卒中
  • 狭心症

なお、高尿酸血症は女性と比べて男性のほうが圧倒的に多い病気と言われています。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症」

 

アルコールと高尿酸血症・痛風の関係

高尿酸血症を発症しやすくなる原因の1つに、アルコール摂取があります。アルコールが尿酸値を上げるとされる主な理由は、下記の3つです。

・ATPの分解促進

アルコールを摂取すると、生体のエネルギー通貨と呼ばれるATPの分解を促進します。ATPが分解されることで生じるプリン体がさらに分解されて尿酸となるため、結果として体内の尿酸が増える傾向です。

・排出量の低下

大量飲酒により腎臓の機能が低下すると尿酸が身体から出にくい状態となり、血液中の尿酸が増加する原因となります。また、高尿酸血症が原因で腎臓の機能を低下させる恐れもあり、さらなる悪循環に陥るケースも珍しくありません。

・食欲抑制力の低下

アルコールを摂取すると、食欲が抑制しにくくなる傾向にあります。アルコールとともに摂取されやすい食品には、プリン体が多く含まれているものが少なくありません。食物から摂取するプリン体が増えることで体内に産生される尿酸が増え、尿酸値が上がりやすくなります。

アルコールは尿酸値を上げる大きな要因となるため、高尿酸血症の疑いがある場合は一度飲み方を見直すとよいでしょう。

痛風は、高尿酸血症が進み結晶化した尿酸が関節などに溜まり、塊となったものを白血球が攻撃する際に生じる赤みや痛み、腫れを指します。なお、一般的には尿酸値が高くなることと痛風がイコールで語られる場合もありますが、高尿酸血症になったからといって必ずしも痛風になるわけではありません。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと高尿酸血症・痛風」

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痛風発作時の対応法

痛風発作の多くは、直前まで何の予兆もなく唐突に腫れや激痛が襲ってきます。もっともよい対応法は一刻も早く医師の診断・治療を受けることですが、時間帯によっては病院が開いていないケースもあるでしょう。そのようなときは、ひとまず下記の応急処置を行うことである程度痛みを軽減することも可能です。

【自宅でできる応急処置】

  • 患部を冷却する
  • 患部を心臓より高い位置で固定する
  • 安静にする
  • 市販・処方された痛み止め薬を飲む

なお、患部を温めたり揉んだりすると逆効果になるため、避けましょう

 

尿酸値が高くならないような生活を送るには?

尿酸値を正常な範囲にとどめるためには、日常的にストレスがかかりすぎないよう心がけることが大切です。ストレスがかかることによって分泌されるアドレナリンやエストロゲンは、尿量を減少させる作用があります。結果として体外へ排出される尿酸の量が減り、尿酸値が上昇しやすい傾向です。

また、下記の点に注意を払うことが特に効果的とされます。

  • ベースとなる生活習慣を改善する
  • プリン体の摂取量に注意する
  • 飲水量を増やす
  • 有酸素性運動を行う

ここでは、尿酸値が高くならないような生活を送るコツを解説します。

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ベースとなる生活習慣を改善する

ベースとなる生活習慣の改善は、尿酸値の上昇を抑えるための基本と言えます。そもそも、高尿酸血症は生活習慣病の1つであり、発症する人の多くは日常生活や食習慣の乱れ、肥満という特徴が多い傾向です。

肥満は体内におけるプリン体の合成を促進します。また、肥満の原因でもある食べすぎは、食物に含まれたプリン体をその分多く摂取することと同じです。さらに、肥満や運動不足、高脂肪食の継続は「糖尿病」を引き起こし、尿酸の排泄低下も招く「インスリン抵抗性」を生じるとされます。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症の食事」

 

プリン体の摂取量に注意する

尿酸値の上昇を抑えるためには、食事に含まれるプリン体の量に注意することも必要です。プリン体の70~80%が体内で作られるとはいえ、食物から取り込む量が増えればその分尿酸値は上がりやすくなります。

食物に含まれるプリン体の量を把握し、節制することで体内にとどまる尿酸の量を少しずつ下げることが可能です。特に、動物や魚の内臓部分、干物類はプリン体の含有量が多いため、できるだけ避けたほうがよいでしょう。目安として1日のプリン体摂取量を400mg以下に収めることが望ましいとされますが、尿酸値によっても適正量が異なるため医師の指示に従うことが重要です。

また、アルコールはそれ自体に含まれるプリン体が少なくても、体内の尿酸産生を促す上に排泄の抑制にもつながるため、控えたほうがよいとされます。アルコールを摂取する際は1日の適正量内にとどめ、週2日以上の禁酒日を設けることが大切です。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症の食事」

 

飲水量を増やす

飲水量を増やして尿量を増やすことで、尿酸値の上昇を抑えられる可能性が上がります。体外に排出される尿酸のうち約70%は尿に含まれて排泄されるため、尿量を増やすことは尿酸の排出を助けることにつながります。

尿酸を減らすために理想的な飲水量については体格や季節によって多少の差があるものの、1日平均で2L以上が望ましいとされます。水分補給には水やお茶など、余分なものが入っていない飲料が適切です。糖分の多いジュースや脂肪分が含まれる牛乳、尿酸を増やすアルコール飲料を水代わりに飲むのは避けましょう。のどが渇いたと感じなくても、起床後・食前・食間・就寝前などに分けて小まめに摂取することがポイントです。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症の食事」

 

有酸素性運動を行う

日常的に適度な有酸素性運動を行うことも、尿酸値の上昇を抑える効果が見込めます。ウォーキングやスイミング、エアロビクスダンスなど、自分自身の体力に応じて数十分程度継続できる運動習慣をつけるとよいでしょう。

筋トレなどの無酸素性運動は反対に尿酸の産生を促進させるため、尿酸値を下げる目的で行ってはなりません。また、同じ有酸素性運動でも、体力の少ない人には無酸素性運動と同様の効果となる場合があり、注意が必要です。どの程度の運動が望ましいかは人によって異なるため、医師の指示を仰いでから決めることをおすすめします。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症」

 

まとめ

尿酸は、体内から産生されたり食物から摂取したりするプリン体が分解されてできる、老廃物の1つです。血液中の尿酸が増えると高尿酸血症となり、さまざまな疾患や合併症を引き起こすため、尿酸値は正常な範囲内に収めておかなければなりません。尿酸値を高くしないためには、日頃から生活習慣や食事内容などを意識しましょう。

なお、今回の記事はあくまでも一般的に言われている内容にすぎません。検査で尿酸値が高いと指摘された場合、まずは医師の指示を仰ぐことが大切です。