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コラム-よくあるお悩みと一般的な対処法-
COLUMN
Vol.13

夜中に目が覚める「中途覚醒」の主な原因と対処法

「眠いはずなのに夜中に何度も目が覚めてしまう」「ちょっとした物音ですぐに目が覚めてしまう」、そのような症状に悩む人は多くいます。十分な睡眠時間を確保しても朝まで熟睡できないと、疲れが取れず憂鬱な気分になりがちです。就寝後に何度も目が覚めるケースが長期にわたって続く場合、「中途覚醒」と呼ばれる不眠症の一種かもしれません。

当記事では、中途覚醒の概要とリスク、主な原因を解説します。夜中に目を覚ましにくくなるおすすめの対処方法も紹介するため、朝までぐっすり眠りたい人はぜひ参考にしてください。

 

夜中に目が覚める「中途覚醒」とは?

夜中に頻繁に目が覚めることで眠りの満足感が得られない場合、「中途覚醒」と呼ばれる不眠症の一種に当たる可能性があります。

一般的に不眠症と診断される線引きは、下記の通りです。

「1. 長期間にわたり夜間の不眠が続き」「2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」、このふたつが認められたとき不眠症と診断されます。

引用:厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」/引用日2022/10/12

不眠症には、大きく分けて下記4つの種類と特徴があります。

入眠障害
  • 布団に入った後も眠れない
  • 入眠まで30分~1時間以上かかる
中途覚醒
  • 眠りが浅く、起床までに何度も目が覚める
  • 一度起きるとなかなか寝つけない
早朝覚醒
  • 起床予定より2時間以上早く目が覚める
  • 一度目が覚めたら眠れなくなる
熟眠障害
  • 長時間眠っても疲労が残る
  • 眠れたという満足感が得られない

なお不眠症は、上記のいずれか1つのタイプのみを発症するとは限らず、複数の悩みを同時に抱えるケースもあります。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「不眠症」

 

中途覚醒や不眠症のリスク

良質で十分な時間の睡眠を確保することは、心身の健康を保つためにも欠かせません。中途覚醒をはじめとした不眠症が長期化すると、下記のようなリスクを伴います。

  • 日中の強い眠気
  • 記憶力・注意力・集中力の低下
  • 作業能率の低下
  • 食欲の低下
  • 意欲の低下
  • 免疫機能の低下
  • 抑うつ症状の発症

睡眠不足が続くと日中に強い眠気をもよおすことが増え、記憶力・注意力・集中力が低下し、作業能率が悪くなります。人為的ミスを起こしやすくなり、人命に関わるような事故や莫大な経済的損失を招きかねません。

また、食欲や意欲が低下することで、免疫機能の低下や抑うつ症状の発症といった、心と身体の健康を損ねるケースがあることも知られています。不眠の長期化はうつ病発症との関連性も指摘されており、早期発見・対処が望ましいと言えるでしょう

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「健やかな眠りの意義」

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中途覚醒の主な原因|夜中に目が覚めないための改善・対処法も

中途覚醒を起こす原因は複数ありますが、「若い頃はしっかり眠れていたのに年を取ったら眠れなくなった」という場合は「加齢」による自然現象とも考えられます。

よく「高齢者は早寝早起きだ」と言われますが、これは加齢によって体内時計が変化し、生体機能のリズムがずれることが主な理由です。睡眠だけでなく、血圧・体温・ホルモン分泌などあらゆる機能が前倒しとなるために起こる現象であり、特に病気などではありません。

また、年齢を重ねるごとに睡眠が浅くなりやすく、必要とする睡眠時間が短くなることも原因の1つです。日中特に支障を感じないのであれば、無理に時間をずらしたり長時間寝ようとしたりしなくてもよいでしょう。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高齢者の睡眠」

しかし、中途覚醒を繰り返すことで日中の眠気が強いなど、日常生活に悪影響が出ている場合や、高齢とは言えない場合は加齢以外の原因を疑う必要があります。加齢以外で中途覚醒を起こしやすくなる原因は、主に下記の6つです。

  • ストレス
  • 生活リズム
  • 薬・刺激物
  • 睡眠環境
  • からだの病気
  • こころの病気

ここでは、中途覚醒や不眠症の原因になりうる理由と対処法を解説します。

 

ストレス要因

中途覚醒や不眠症は、ストレスが原因で起きるケースがあります。ストレスがたまると自律神経のバランスが崩れ、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。就寝時になっても交感神経が優位に働くと、床に就いても緊張状態が続いてしまい、脳が休息を取れません。するとわずかな音や光といった刺激にも反応してしまい、中途覚醒につながります。

ストレスが要因の不眠には、下記の対処法が考えられます。

  • 1時間程度の有酸素運動で、適度に身体を疲れさせる
  • 就寝の1時間ほど前に、ゆっくりと入浴する
  • 穏やかな音楽を聴き、リラックスする
  • 熱中・興奮せず、軽く読み流せる内容の本や雑誌を読む
  • 瞑想する
  • アロマテラピーを取り入れる
  • 心配事を反芻しない

また、不眠が続く状態を気にして「寝よう寝よう」と考えることも、ストレスを増やし眠りを妨げる原因となるため、できるだけ意識しないことも重要です。

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生活リズム要因

生活リズムがずれたり乱れたりすると、中途覚醒や不眠症を起こしやすくなります。特に、夜勤などの交代制勤務が多い仕事の人や、渡航する機会が多い人によく見られる原因です。

通常は、同じ時間に寝て同じ時間に起きることで体内のリズムが整い、睡眠に関わるメラトニンというホルモンなども一定の時間に分泌されます。しかし、生活リズムが変化すると、メラトニンの分泌時間と寝るべき時間にずれが生じるため、うまく睡眠モードに入れません

生活リズムが要因の不眠には、下記の対処法が考えられます。

  • 毎日の就寝時間と起床時間を一定に保つ
  • 起床時に日光を浴びて、体内時計をリセットする
  • 就寝前は強い光を浴びない
  • 昼寝は30分以内に抑える

 

薬・刺激物要因

服用している薬の作用や、刺激物の摂取も、中途覚醒や不眠をもたらす原因です。睡眠を妨げる薬としては、抗がん剤・降圧剤・甲状腺製剤・気管支拡張薬・抗うつ薬などが挙げられます。また、覚醒作用があるカフェインやニコチンは、就寝前の摂取を避けたほうがよいでしょう。アルコールは寝つきをよくするものの、効果が切れると目が覚めやすくなるため、飲む量には注意が必要です。

薬や刺激物が要因の不眠には、下記の対処法が考えられます。

  • 薬が理由の場合は、医師に相談する
  • 就寝数時間前から、カフェインが含まれた飲食物を避ける
  • 就寝数時間前から、喫煙は避ける
  • 飲酒量は控えめにして、早めに切り上げる

 

睡眠環境要因

良質な睡眠を取るためには、寝室環境も重要です。暑すぎても寒すぎても眠りが浅くなるため、寝室の温度・湿度に加えて寝具内の温度も適温に整えましょう。また、強い光や白っぽい光は、体内時計を遅らせる作用がある点にも注意が必要となります。特にブルーライトには覚醒作用があるため、スマホやパソコンの使用も避けたほうが無難です。

睡眠環境が要因の不眠には、下記の対処法が考えられます。

  • 室温20℃前後・寝具内温度30度前後・湿度40~70%を目安にする
  • エアコンなどを使い、快適な環境を整える
  • 身体にあった寝具を使う
  • アイマスクや耳栓を使う
  • 照度が低い照明を使う
  • 光らない・音がしない時計を使う

 

からだの病気

からだの病気が原因で、中途覚醒や不眠症に陥るケースも珍しくありません。眠りを妨げることの多い病気としては、下記の例が挙げられます。

  • 高血圧・心臓病(胸苦しさ)
  • 呼吸器疾患(咳・発作)
  • 腎臓病・前立腺肥大(頻尿)
  • 糖尿病・関節リウマチ(痛み)
  • アレルギー疾患(かゆみ)
  • 脳出血・脳梗塞
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • ムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)

からだの病気が原因の場合は、治療の進行と同時に不眠も解消される場合がほとんどです。まずは医療機関を受診しましょう。

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こころの病気

こころの病気は、中途覚醒や不眠症を併発する傾向にあります。「不眠が続くせいで食欲や意欲が低下していると思ったら、実はうつ病だった」という例は少なくありません。

特に、責任感が強く几帳面な人や頑張り屋の人、生活環境が激変した人などはこころの病気を発症する可能性が高くなります。「こころに不調を感じる」「毎日がしんどい」と感じる場合は、早めに専門医療機関を受診してケアを受けることが大切です。

 

まとめ

夜中に何度も目が覚めることが続く場合は、不眠症の一種である中途覚醒の疑いがあります。軽度のものであれば、毎日の生活習慣や環境を見直すだけでも症状の改善が期待できるため、まずは簡単なものから試してみるとよいでしょう。

ただし、からだやこころに異変が生じている場合は、睡眠習慣や環境以外の要因が潜んでいる恐れもあります。眠気以外の不調がある場合や、自分自身で思いつく改善方法を実行してみても変化の実感が得られない場合は、睡眠障害の専門医を受診して指示を仰ぐことが大切です。